2009年9月20日

太田 昌孝

心の発達研究所 理事長

中国大連市における国際連携

本年9月2日から4日まで中国の大連市に滞在し自閉症を始めとする障害児者の施設の見学と第1回中日自閉症交流検討会に参加した。もとの計画では国際協力機構(JICA)の中国自閉症児教育教師養成プロジェクトとして北京から新幹線でほぼ2時間の距離にある秦皇島市で行われることになっていた。しかしながら、新型インフルエンザの為に実行が困難となり、来年以降に持ち越されることになった。そこで、急遽、大連において討論会を開くことになった。

3日に、大連市沙河口区障害者総合センター、新起点肯納学園(肯納:カナーの中国語表記である)、大連市障害者職業訓練センターを見学した。新起点肯納学園は名の通り自閉症に特化した施設であり、自閉症の親によって設立された。他の二つは自閉症の施設でないが徐々に自閉症も対象としていくということである。3施設共に開業してから新しく、中国での自閉症を含む障害児者対策が進んできていることがうかがわれた。

4日は朝から、第1回中日自閉症交流検討会が大連大学附属中山病院3階講堂でもたれた。主催は大連大学附属中山病院、大連市障害者連合会精神障害および親の会、中日美谷福祉協会、大連新起点肯納学園の4団体であった。

私は、「自閉症と太田ステージに基づく認知発達治療」と題して口演をした。次いで、佐々木正美先生(川崎医療大学)が「自閉症とTEACCHプログラム」、望月昭先生(立命館大学)が「自閉症児への応用行動分析(ABA)による総合支援」について口演した。日中美谷会から3名が実践報告を行った。

400人を越える参加者で会場は熱気にあふれていた。休憩時間に参加者から声をかけられ興味を持ってもらったようであるので、討論時間がとれなかったのは残念であった。

この討論会が成功裡に行われたのは、主催者を始め、日中の関係者の力によるものであり感謝に堪えない。とりわけ、この交流検討会にコーディネータの一人として参画し、当日は司会と通訳をほぼ独りで行った于暁輝さんの働きを多とするものである。ちなみに彼女は私の東京学芸大学時代の教え子で、現在中山病院小児科の医師として勤務している。今後も日中の自閉症等の診療・研究などの架け橋となることを期待している。

 
会場の中山病院本館(入り口)   中山病院 王衛明副院長

大連市(だいれん-し)は中華人民共和国遼寧省の南部に位置し、省都の瀋陽市に次ぐ大都市で、渤海湾、黄海に面している。 緯度は、日本の仙台市、アメリカ合衆国のサンフランシスコ市とほぼ同緯度(北緯39度上)にある。気候は冬季の寒さが厳しく、-10℃以下の日もある。 (写真 >> クリック拡大)